レシピ

【レシピ#09】クワス

はじめに

クワス(Kvass)は、ライ麦や麦芽を発酵させて作る東欧の伝統的な微炭酸飲料です。

原型となる飲み物は2000年以上前から存在し、今でも東欧では夏の風物詩として親しまれているとのこと。冷製野菜スープのベースとして使われることもあるとか。

コーラに似た濃い色と、ライ麦パン(黒パン)由来の独特の甘酸っぱさや風味が特徴です。
昔は古くなったライ麦パンでの自家製が主流でしたが、今は安い市販品が流通し、東欧でも手作りする家庭はめっきり減ったそうです。

素材のちから – スラヴ人が愛する微炭酸飲料クワス 
広い範囲の国々で飲まれている、ビタミン豊富な夏の定番ドリンク クワスとはどんな飲み物なのか? クワスとはライ麦と麦芽を発酵させて作る微炭酸の飲み物。世界的な規模ではあまり知られていませんが、多くのスラ…

今回は、昔ながらの自家製法に則ってクワスを作った際のレシピをまとめました。
なお、ライ麦パンは使わず、失敗した自家製パンを利用しています。

バナナの天然酵母パン(失敗)
使用したパン。天然酵母の働きが弱く、膨らまずポソポソに。
元凶の酵母液の失敗記録はこちら
※※【注意】発酵の過程で微量のアルコールが発生します※※

酒の自家醸造は違法

日本ではアルコール度数が1%以上の飲料を酒と定義しています。
そして、酒の自家醸造は禁止されています。

本レシピはドライイースト(酵母)を使いますが、酵母は糖を代謝してアルコール(と二酸化炭素)を産生します。
酵母の活動が進みすぎて、法定ラインの1%を超えないように気をつけましょう

アルコール度数の抑え方

度数を抑えるためには、「糖分」と「発酵時間」を調節することが大切です。
糖分を少なめに、発酵時間を短めにすれば法定ラインを超えることはありません。

なお、当たり前ですが私のレシピでもアルコールが1%を超えないように調節しています。
※ あくまで五感と調べた情報ベースです

ただし、発酵の進みはスターターの能力や気温などに左右されます。
気になる方は、私のレシピよりも砂糖の量と発酵期間を抑えると確実です。
その場合、炭酸感が少し弱くなる可能性もあるため注意してください。

度数の判断基準

厳密に度数を計るには比重計などの専用器具が必要です。
そこまでするのは…という人は、自分の五感に頼りましょう

アルコールが1%未満であれば、ほぼアルコール臭がしないはずです。
原始的ですが、これはシンプルかつ重要な判断基準と言えます。

アルコール臭がし始めたら、もったいないけれど廃棄するのが最も低リスクです。

あるいは、それを税務署なり警察署なりに持って行って自首しても問題ありません。
役人も私も困ると思いますが。

Ⅰ. 材料

約1000ml分の材料です。

No.項目分量備考
パン約300g黒パンが一般的だが、ほかのパンでも代用可能
1.5L沸騰させるため水道水でもOK
ドライイースト1.5gパン用のものでOK
白砂糖25gグラニュー糖や黒糖でもOK
レモン汁10g
レーズン3~5粒発酵促進用。無添加・ノンオイルのもの
  • 利用するパンは、最終的に取り除いて廃棄します。
    もしパンを作る習慣があるなら、失敗してしまったパンを使うと無駄がありません
    その他、東欧の伝統に沿って古くなったパンを使うのもおすすめです。
  • パンの種類で風味が変わります
    黒パンを使うと本来のクワスに近い独特の風味(酸っぱさ、香ばしさ)が強くなり、
    小麦のパンを使うとクセのない軽いビールのような風味になります。
  • パンに吸収されてしまう分を考慮し、水は多めに用意しましょう。
  • コクが欲しければ黒糖、クリアにしたければグラニュー糖や白砂糖が良いです。
    ブドウ糖は味が薄くなりすぎるのでお勧めしません
  • レーズンはノンオイルを使用してください
    オイルコーティングのものを使うと発酵力が弱まってしまいます。

Ⅱ. 手順

準備時間は約1時間(一晩おく時間を除く)、発酵期間は1日~3日ほどです。

  1. パンをオーブンで乾燥させる(200℃で約25分)。
  2. 水を沸騰させる。沸騰後に火からおろし、乾燥させたパンを入れる。
    上から重しを載せてパンが浸かるようにし、ホコリ除けに布などをかけて一晩おく。
    クワスに使うため湯に浸漬中のパン
  3. 一晩おいたパンの漬け汁、砂糖、レモン汁、レーズンを1LのPETボトルに入れる。
    漬け汁は、パンを薄い布で包んだうえで、絞るか上から重しを載せるとパンに吸収された分も抽出できる。パン自体は処分する。
  4. イーストを水面に浮かべるように投入し、10分くらい置く。
  5. PETボトルのフタをしっかり閉め、イーストが混ざるようによく振り混ぜる。
    フタを緩めてガスが抜けるようにし、室温(20~30℃)で置く。
    発酵中のクワス(初期)
  6. 1~2日ほど置き、泡が出てレーズンが水面に浮かんで来たら、フタをしっかり閉める。
    その状態で引き続き室温に半日~1日ほど置く(炭酸を溶けこませる)。
    発酵中のクワス(後半)
  7. PETボトルの表面が張り、押してもなかなか凹まない状態になったら完成。
    冷蔵庫に入れ、発酵速度を抑える。
  • パンを漬ける際は、重しをしてパンがしっかり水面下に沈むようにしてください。
    私はザルと皿を使いました(詳細は観察記録に記載)。
    クワス用のパン漬け汁(重しあり)
  • PETボトルは必ず炭酸用を使用してください
    【道具#01】発酵容器
    発酵に使っている容器(ビン、キャニスター、ボトルなど)の紹介
  • フタを閉めた後は、定期的にPETボトルの張り具合を確認し、
    あまりにもカチカチの場合はフタを少しの間ゆるめてガスを逃がしてください
  • 冷蔵庫に入れても発酵はゆっくりと進行します。
    あまりにも長い間置いておくとPETボトルが炭酸に耐えられなくなったり、アルコールが発生しすぎたりするので、注意してください。

Ⅲ. 結果

成功。小麦のパンで作るため、クセはあまりなくほど良い炭酸感軽いビールの風味があります。清涼感があり、夏に最適です。
完成までの観察記録は、以下の記事をご参照ください。

【観察記録#09】クワス
自家製クワスの発酵過程をまとめた4日間の観察記録。パンが水を吸ってしまう抽出工程の苦労から、ドライイーストによる発酵のサイン、完成タイミングの目安まで、レシピだけでは伝わらないリアルな変化と気づきを写真付きで解説

ちなみに、日本で市販のクワスを飲むのはなかなか難しいようです。
Amazonで中国発のクワスは売られていますが、色が薄めでライ麦由来ではない気がします。
あと、基本的に350ml×24本とかのまとめ売りなので、口に合わなかった時の対処に困ります。

クワスを提供しているロシア料理店で飲むのが一番手っ取り早いかも知れません。
現在クワスを提供しているかは不明ですが(おそらく夏場に行くと売っている確率が高い)、
都内のロシア料理店をいくつか挙げておきます。

【公式】CAFE RUSSIA カフェロシア Кафе РОССИЯ(2026年5月22日更新)
【公式】ロシアやウクライナなど旧ソ連出身のスタッフが提供する「ガチ」ロシア料理、「ガチ」ジョージア料理が楽しめる店(2026年5月22日更新)
スカズカ (錦糸町/ロシア料理)
★★★☆☆3.27 ■錦糸町駅3分◆本場の雰囲気漂う隠れ家レストランで、本格的なロシアの家庭料理をゆったりと堪能 ■予算(夜):¥2,000~¥2,999

大学時代に、ロシア人の留学生に連れられてCafe Russiaには行ったことがあります。
お店のスタッフも外国の人が多く、日本にいながら圧倒的アウェー感を覚えたのを覚えています。料理はどれもおいしかったです。

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